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作品情報

 ブラジルに生まれ、ユージン・スミス賞をはじめ、多くの賞を受賞する世界的な報道写真家であり、大自然の保全や復元に尽力する環境活動家としても知られている今世紀最も偉大な写真家セバスチャン・サルガド。
 彼の作品は、たった一枚で見る者の心を打ち、人生を変えてしまうほどの深い感動を呼び起こす―。“神の眼”とも呼ばれる奇跡的な構図、モノクロを基調とし荘厳なまでに美しい作品の数々を彼はいかにして撮りつづけて来たのか?
 『パリ、テキサス』『ベルリン・天使の詩』などの劇映画のみならず、数々の傑作ドキュメンタリーを世に送り出してきたヴェンダース監督とサルガドの長男であるジュリアーノ・リベイロ・サルガド監督、二人の映像作家がそれぞれの切り口で稀代の写真家の人生を辿って行く。本年度アカデミー賞最優秀長編ドキュメンタリー映画賞ノミネートをはじめ、世界の映画祭で絶賛された感動の映像叙事詩!

 これまでサルガドは常に人間と向き合い、死、破壊、腐敗といった根源的なテーマを扱ってきた。だが、ルワンダ内戦のあまりにも悲惨な光景を前に深く傷つき、心を病んでしまう。故郷ブラジルに戻ったサルガドを待っていたのは、まるで彼の心を写したかのように干上がり、荒れ果てた大地だった。長年連れ添い、いくつものプロジェクトに二人三脚で携わってきた建築家の妻レリアは、ある壮大な提案をする。それは、二人の新しいプロジェクトの始まりだった―。
 2004年から始められた「GENESIS(ジェネシス)」では今も地球上に残る未開の場所―ガラパゴス、アラスカ、サハラ砂漠、アマゾン熱帯雨林など、生と死が極限に交わる、ありのままの地球の姿がカメラにおさめられる。
 サルガドは言う、「GENESIS(ジェネシス)」とは地球への“ラブレター”なのだと。誰もが息をのみ、胸打たれる構図に込められたサルガドの想い。それは人間の闇を見つめ続けてきた男が、幾多の苦しみの果てに見い出した、希望への祈りなのだ。

  • セバスチャン・リベイロ・サルガド Sebastião Ribeiro Salgado

     サルガドは1944年、ブラジルのミナスジェライス州の小さな農場主の息子として生まれ、サンパウロ大学で経済学を学んだ。60年代、軍事独裁に反対する闘争による迫害を逃れパリに渡りソルボンヌ大学で経済学修士号を取得し、博士課程終了後、ロンドン国際コーヒー機構で働く。アフリカ訪問時に大きなインスピレーションを受け、29歳の歳に高額年俸の国際コーヒー機構を辞めフリーランスの写真家に転じる。何ヶ月も被写体と同居しながら撮影するスタイルが有名で、今でも同じ方法で撮影している。

     アフリカの飢餓を撮った「SAHEL(サヘル)」や、近代化で消えていく肉体労働者を取材した「人間の大地 労働(英題:Workers)」などの写真集や展覧会で世界各地の賞を多数受賞する世界的な報道写真家。シグマ、ガンマ、マグナムを経て1994年に妻のレリアとアマゾナスイメージを設立。夫妻はインスティトゥート・テラを設立し、今もブラジルの森林を守る運動を続けている。

    主な受賞歴

    ●1982年 W.ユージン・スミス賞(アメリカ)、ラテンアメリカ難民の取材にフランス文化省より助成金(フランス)
    ●1984年 初の写真集『Other Americas』にパリ市とコダック社より最優秀写真集賞(フランス)
    ●1985年 世界報道写真コンテスト(オランダ)オスカー・バルナック賞
    ●1986年 I.C.Pニューヨーク国際写真センターより年間最優秀フォトジャーナリスト賞(アメリカ)、
          写真集『Sahel』にアルル国際写真フェスティバルより年間最優秀写真集(フランス)、パリ写真月間で「Other Americas」展に最優秀写真展賞(フランス)
    ●1987年 アメリカ雑誌写真家協会、メーン州写真ワークショップより年間最優秀写真家賞、ニューヨーク外人記者クラブよりオリヴァ―・リボット賞(アメリカ)
    ●1988年 エーリッヒ・サロモン賞(西ドイツ)、ニューヨーク国際写真センターより年間最優秀フォトジャーナリスト賞(アメリカ)アートディレクターズ・クラブより金賞(アメリカ)
    ●1989年 エルナ&ヴィクトール・ハッセルブラッド賞(スウェーデン)、ヨセフ・スーデック賞(チェコスロバキア)
    ●1990年 写真集『An Uncertain Grace』にメーン州写真ワークショップより年間最優秀写真集賞(アメリカ)、ペルピニアン国際フォトジャーナリズム・フェスティバルより金賞(フランス)
    ●1991年 パリ市より大賞(フランス)、コモン・ウェルス賞、アートディレクターズ・クラブより金賞(アメリカ)
    ●1992年 世界報道写真コンテスト(オランダ)でオスカー・バルナック賞、アートディレクターズ・クラブ賞(ドイツ)
    ●1993年 写真集『Workers』にアルル国際写真フェスティバルより年間最優秀写真集賞(フランス)
    ●1994年 写真集『Workers』にニューヨーク国際写真センターより最優秀出版賞、夫人にデザイン賞(アメリカ) ●1996年 アートディレクターズ・クラブ賞(ドイツ)
    ●1998年 ライフ誌よりアルフレッド・アイゼンスタット「ライフ・レジェンド」賞(アメリカ)、写真集『Terra』にジャブチ賞(ブラジル)
    ●1999年 アルフレッド・アイゼンスタット賞(アメリカ)、ユネスコ文化部門賞(ブラジル) ●2000年 ピオマンズ国際リサーチセンターよりイタリア大統領賞(イタリア)
    ●2001年 ニューヨークとボストンの大学より名誉芸術博士号(アメリカ)、●2000年度ムリキ賞(ブラジル)ほか多数受賞 ●2003年 日本写真協会国際賞受賞

    主な写真プロジェクト

    ●1978年 パリ郊外の住宅4000戸の生活環境問題を取材 ●1979年 ヨーロッパにおける移民の多様性を取材
    ●1977年-84年 ラテンアメリカの農民や全住民の子孫らの生活を取材 ●1984年-85年 フランスの「国境なき医師団」の協力で、アフリカのサヘル地域の干ばつによる飢餓を取材
    ●1986年-92年 集団的肉体労働の終焉を26カ国で取材 ●1994年-99年 地球規模で移動する人々を取材
    ●2001年 ユニセフと世界保健機関の「ポリオ撲滅キャンペーン」のため現地取材 ●2004年-11年 GENESIS(ジェネシス)プロジェクトのため、世界各国を取材

    主な展覧会

    ●1977年 Anger in Africa ●1978年 Les 4000 Logements de la Courneuve ●1982年-99年 Other Americas ●1984年 Vidas Sêcas ●1986年-97年 Sahel:l’Homme en Détresse
    ●1989年-96年 Retrospective ●1993年 「人間の大地-In Human Effort」東京国立近代美術館 ●1990年-2000年 An Uncertain Grace
    ●1992年-2001年Workers ●1994年-95年 Bunkamuraザ・ミュージアム、 尾道市立美術館、大丸ミュージアム・梅田 主催:朝日新聞社など
    ●1994年-98年 Serra Pelada 
    ●2000年- Exodus(2002-03年「EXODUS国境を越えて」Bunkamuraザ・ミュージアム、
    福岡アジア美術館)ESSAYS(2003-04年 東京都写真美術館)/AFRICA(2009年  東京都写真美術館)

    主な写真集/MAJOR BOOKS

    Sahel:L’Homme en Déteresse,Prisma Presse and Centre National/de la Photographie.For Medecins Sans Frontières,France,1986./Other Americas,Pantheon Books,USA,1986/Les Cheminots(The Railroad Workers),Comité Central/d’Enterprise de la SNCF ,France,1989/An Uncertain Grace,Aperture,USA,1990./Photopoche,Sebastiâo Salgado,n°55 Ed. Centre National de /la Photographie,France,1993./orkers,Aperture,USA,1993./「セバスティアン・サルガード写真集 人間の大地 労働」岩波書店刊1994./Terra,Editions de La Martinière,France,1997./Terra,Phaidon,England,1997/Um Fotgrafo em Abril,Ed. Caminho,Portugal,1999./Serra Pelada Photo Poche Societé,Editions Nathan,France,1999./Exodes,Editions de La Martinière, France,2000./Migrations,Aperture,USA,2000./The Children,Aperture,USA,2000/Malpensa, La città del volo, SEA Aeroporti di Millano, Italy,2000./Salgado,Parma.Contrasto,Italy,2002 /GENESIS, 2013「GENESIS」TASCHENより刊行(右:表紙画像) 参考資料:Amazonas Images 2003.提供の資料 図録「セバスチャン・サルガド写真展WORKERS」(朝日新聞社) 1994 図録「セバスチャン・サルガド写真展EXODUS国境を越えて」(朝日新聞社)2002

  • ヴィム・ヴェンダース監督 Wim Wenders

     1945年ドイツ生まれ。『パリ、テキサス』(84)や『ベルリン・天使の詩』(87)等で知られるヴィム・ヴェンダースはドキュメンタリー作品の秀作も多く、1999年、キューバの老ミュージシャンたちの人生を捉えた『ブエナ・ビスタ・ソシアル・クラブ』は世界的に大ヒットした。

     ピナ・バウシュとの交流から20年に渡って企画を練り上げた2011年の『Pina/ピナ・バウシュ 踊り続けるいのち』では最新デジタル撮影で素晴しいダンスシーンの映像化に成功している。本作で三度目のアカデミー賞長編ドキュメンタリー映画賞にノミネートされた。

    〈ヴィム・ヴェンダース監督フィルモグラフィー〉

    『ゴールキーパーの不安』 (1971) 監督/脚本
    『緋文字』 (1972)〈未〉 脚本/監督
    『都会のアリス』 (1973) 脚本/監督
    『まわり道』 (1974) 監督
    『さすらい』 (1975) 監督/脚本
    『アメリカの友人』 (1977)監督/脚本
    『左利きの女』 (1977))〈未〉 製作
    『RADIO ON』 (1979) 製作
    『ニックス・ムービー/水上の稲妻』(1980)<未> 監督
    『ことの次第』 (1981) 監督/脚本
    『ハメット』 (1982) 監督
    『666号室』 (1982)〈TVM〉 監督/出演
    『パリ、テキサス』 (1984) 監督
    『東京画』 (1985) 脚本/監督
    『ベルリン・天使の詩』 (1987)製作/監督/脚本
    『鉄の大地、銅の空』 (1987) 製作
    『都市とモードのビデオノート』 (1989) 監督/撮影/脚本/出演
    『夢の涯てまでも』 (1991) 監督/脚本
    『小津と語る Talking With OZU』 (1993) 出演
    『時の翼にのって/ファラウェイ・ソー・クロース!』
    (1993)製作/脚本/監督  
    『リスボン物語』 (1995) 脚本/監督

    『愛のめぐりあい』 (1995) 脚本/監督
    『ベルリンのリュミエール』 (1995)〈未〉 出演/監督
    『映画を作ることが生きることだ』 (1995)〈未〉 出演
    『キング・オブ・フィルム/巨匠たちの60秒』 (1995)〈未〉 監督
    『エンド・オブ・バイオレンス』 (1997) 監督/製作
    『ブエナ・ビスタ・ソシアル・クラブ』 (1999) 監督
    『ミリオンダラー・ホテル』 (2000)製作/監督
    『10ミニッツ・オールダー 人生のメビウス』 (2002) 監督/脚本
    『ソウル・オブ・マン』 (2003) 脚本/監督
    『ランド・オブ・プレンティ』 (2004) 原案/脚本/監督
    『ミュージック・クバーナ』 (2004) 製作総指揮
    『アメリカ,家族のいる風景』 (2005) 原案/監督
    『それぞれのシネマ~カンヌ国際映画祭60回記念製作映画~』 (2007) 監督
    『クローンは故郷をめざす』 (2008) エグゼクティブプロデューサー
    『8 -Eight-』 (2008) 監督
    『パレルモ・シューティング』 (2008) 製作/脚本/監督
    『台北の朝、僕は恋をする』 (2009) 製作総指揮
    『最高の人生の選び方』 (2009)〈未〉 製作総指揮
    『Pina/ピナ・バウシュ 踊り続けるいのち』 (2011) 監督/製作/脚本
      『セバスチャン・サルガド/地球へのラブレター』(2014) 監督
    『Every Thing Will Be Fine』(2015) 監督

  • ジュリアーノ・リベイロ・サルガド Juliano Ribeiro salgado

     1974年パリに生まれ。1996年にアンゴラの対人地雷の使用を題材とした、最初のドキュメンタリー「Suzana」をフランスのテレビ局アルテの為に製作する。エチオピア、アフガニスタン、そしてブラジルでドキュメンタリーを製作すると同時に、フランスのテレビ局キャナルプラス+とブラジルのテレビ局Globodeでニュース番組に携わる。

     The London Film Schoolを2003年に卒業。以後、主にフランスのテレビ局の短編映画とドキュメンタリーを製作。2009年の彼の映画『Nauru an Island adrift』は、The Grand Format documentary unit of Arteの為に製作され、数多くの国際映画祭に招待された。現在、初の劇場用映画をブラジルのサンパウロで準備中。